デコタミンの戦略 - P&S Japanの思想を定義する

decotamin.comの運営ポリシーは「すべて見せていく」です。それに従えば、P&S事業の裏側も公開していく必要があります。本記事の内容は、万人に向けられたものではありません。しかし、これから何かビジネスを始める方の参考にはなるかもしれません。

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何かビジネスを始めた事がありますか?
私は何度もあります。すべてがうまくいくはずもありません。やはり失敗の数の方が大きかったです。しかし成功よりも失敗から学べる事の方が多いのも事実です。

ビジネスをゼロから始めるにあたり大事なものは何でしょうか。資金?知識?経験?それももちろん重要です。しかし最も大事なのは思想を持つ事です。そのビジネスの根底にある思想。これがしっかり定義できるかが重要なポイントです。この思想によってビジネスが向かう方向が決まり、たとえ道に迷ったとしても、自然と是正されます。

P&Sの看板を背負った時、私はこのP&S事業について以下のような思想を持ちました。

P&Sをすべてのユーザーの終着点に置きたい

これはブランドのポジショニングです。ランボルギーニのような選ばれし者が持つハイエンドな位置に置くのか、全方位を取り込むトヨタの位置に置くのか。そういった市場におけるブランドの立ち位置です。これは創業者にしかできない最初で最後の大きな仕事です。

私はP&S Japanを「ユーザーが選ぶケミカルの終着点」に位置付けたいと思っています。これは、私自身の経験に基づきます。私が洗車YouTubeを始めた時、様々なケミカルを試しました。すべてが良かったとも言い切れませんが、大抵、性能に大きな差がないのが現実だとも思います。それ故に何を使ったら良いのか困惑した事も多いです。あれもこれも、同じような機能性のものを何個も揃えました。ケミカルはたくさんあっても、目的は一つです「クルマをキレイにしたい」。だから私は迷いました。そして可能な限り愛着のある一つのブランドに統一したいと思うようになりました。それがP&Sケミカルでした。

こういう私のような迷えるユーザーは必ず存在している。そういった方が安心して身を委ねられるブランドにP&Sを位置づけたいと思いました。

※評価され続けるP&S ブレーキバスター

P&Sケミカルが終着点になる理由

ケミカル選定の終着点。P&S Japanがそこを目指すのに合理的な理由がいくつかあります。

まずP&Sは米国カリフォルニア・サンフランシスコで誕生したブランドです。創業者のビルは既に他界しましたが、今は彼の息子たちによって意思が引き継がれています。
※創業者ビル・フィリップスは1961年にP&Sを誕生させました。

彼らと話をしていて感じた事は、他社との比較を一切しない事でした。プレイヤーとして我が道を行く。革新的な製品はなく、幾度もの検証と自社調合を重ね、安全で効率的なケミカルを作る事だけに注力しています。保守的とも言えますが、ディテーリングを失敗させないためには必然の結果なのかもしれません。こういった性質と長い歴史は、ユーザーが選ぶブランドの終着点に相応しいものでもあります。

 

※ビルの息子、ボブ。

※ビルの息子、デイブ

なぜ米国ケミカルなのか

私のアイデンティティは間違いなく日本人で、日本を拠点にしています。と同時に米国生活も長いです。どちらの国も愛しています。米国は人口3億人を超える世界一の経済大国です。多種多様な文化が入り混じる米国は、もはや国にあらず、全人種の巨大な思想体とも取れます。
米国の製品はこういった多様な観点から評価され、激しい競争に晒されます。その中で60年以上にも及び、市場で評価され続け、今なお成長を続けているP&S。驚く事に創業期から変わらぬ製品が今でもベストセラーになっています。これは企業努力の賜物でありますが、根底に「ユーザーに安全で良い商品を提供する」という思想があるからでしょう。だから私は自信をもってP&Sブランドを身にまとい、日本で広めたいと思うのです。

※P&Sの代表的ロングセラー商品「エクスプレス・インテリアクリーナー」

立ち上げにおいて重要なもう一つの事

それは愛です。製品への愛情です。私はP&Sの看板を背負った瞬間、P&S製品すべてを好きになりました。その意味は、隣の商品と比べて劣っていても、レビュワーに酷評されても、どうであってもP&S製品が一番だと思うという意味です。P&S Japanを立ち上げ、買い求めてくれるユーザーがいる限り、私はその製品を裏切りようがないくらい愛する。それが最低限コミットするべきことです。迷えるユーザーの終着点という目標を掲げた以上、私はP&Sを愛し続けます。もしここがブレてしまうと、日本でP&Sを愛してくれるユーザーを裏切る事につながるからです。

しかし。しかしです。未練がないと言えばウソになります。YouTube動画を制作し始めた頃、ケミカルの選定は自由でした。使ってみたいものを使う。それが楽しさでもあったのです。でもP&Sの看板を背負った以上、もうその時は戻ってきません。私はP&S製品を使い続ける必要があります。でも。それでいいのです。自分の好きな製品を人々に知ってもらうという目的も意味のあることだと思えるようになったからです。

レニー・ドイルとP&S本社ファクトリー

レニー・ドイルは米国の洗練されたディテーラー達で結成される組織「ディテール・マフィア」の創設者です。

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今回は「事業の立ち上げでまず定義すること」を、私の事例として紹介させて頂きました。P&S Japanのコンセプトは「ユーザーが選ぶケミカルの終着点」に選ばれる事、デコタミンはP&S製品を愛し続けるということを定義しました。当たり前のように思えるかもしれませんが、絶対にブレてはならない思想を持つ事は重要なことです。次はこの思想に基づいて、どういったマーケティングを行っていくかについて考察します。

では皆様。引き続きデコタミンと、未熟なP&S Japanチームを見守りくださいませ。