
90年代のメルセデスのファンは今でも多く存在します。ファンの気持ちを支えているのは、この年代のメルセデスの思想にあると思います。当時のメルセデスは品質を重視し、多大なコストをそれに割いたと言われています。そういう思想だったのです。結果的に30年近く経った今でも現役で走る車両が多く、機関系は、メカが多用されています。
そういったクラシックメルセデスの中でも、このS124型は人気のモデルの一つ。特に鮮やかなグリーンのボディカラー「マラカイトグリーン」は多くのファンを魅了します。
グリーン一色で塗られたボディ。純正塗装のまま。この色は希少性があり、中古車相場でプラス評価になると言われています。
ウッドパネルの状態は良好でした。この年代のメルセデスのウッドパーツには本物の木が使われています。独特の風合いがあり、同じ模様は一つとしてない。しかし適切な管理状態になければ劣化が進む。特に紫外線には要注意で、表面のクリア塗装が割れていきます。リペアすることは可能ですが、純正のような風合いに完全に戻ることは難しく、そしてコストもかかります。現在では純正のウッドパーツで無傷なものを探す方が難しいでしょう。
ミッションは機械式オートマ4速が合わされます。このミッションも長年使われていると”滑り”が生じ、ギアチェンジに時間がかかるようになります。しかし機械式ゆえオーバーホールが可能で、専門業者も数多く存在します。コストは数十万(目安30万~)かかりますが、オーバーホール後はクルマが生まれ変わったかのような走りになります。
多くの愛好家は、ミッションのオーバーホールを視野に入れています。彼らにとってそれはコストではなく、楽しみな出来事なのです。
では洗車について書いていきましょう。まずはホイールの汚れを高圧洗浄機で落とします。これでおおかたの汚れが落とす事ができます。
米国P&S Detail Productsの鉄粉除去剤を使います。
メルセデスは他のメーカーに比べて、ブレーキダストを多く吐き出すので、鉄粉除去剤の反応がすごいです。
鉄粉除去剤の反応を待っている間に、ホイールクリーナーを準備します。P&Sのブレーキバスターを使います。ホイール洗浄のほかにエンジンルーム洗浄にも利用可能。つまり油分を落とす洗剤ということです。原液の状態だとPH値が14あたり。強いアルカリ性ということになります。よって、希釈して利用します。
約10倍に希釈しました。ホイールの汚れであればこれで充分だと思います。
フォームスプレイヤーで泡状にして吹きかけます。泡でなくてもスプレイヤーでも問題ないと思います。泡のメリットは滞留時間が長いということでしょうか。
ブラシでホイールを洗い、水で洗い流す。さっぱりしました。
ボディ洗浄に移ります。砂埃にまみれていたので汚く見えましたが、ほとんどの汚れが高圧洗浄機で落ちました。塗装の状態も悪くないです。
シャンプーをします。フォームキャノンはケミカルガイズのもの。気に入っているのは大口なところ。透明ボトルで中が良くみえ、容量が大きく泡質も良いです。シャンプーはP&Sのパールオートシャンプーを定番として使っています。ケミカルガイズ、P&Sどちらもカリフォルニアブランドですね。
シャンプーは希釈するべきかどうかの正解が分かりません。私はなるべく原液で使うようにしています。それはシャンプーの目的が”潤滑”であるので、希釈率を大きくしてしまうと、その効果が薄れるという考えです。また、フォームキャノンは高圧洗浄機と合わせて使われるので、どのみち希釈されるということ。あとは「輸入品の高価なシャンプーを原液でかけまくる」というある意味スッキリした感じを動画視聴者に提供したいからでもあります。
パールオートシャンプーの泡質は非常に良いです。しっとり滑らかな泡になってくれます。これを体験するにはやはり原液でいくしかないです。
ウォッシュミットはケミカルガイズのもの。様々なミットを使いますが、このケミカルガイズのものは好んで使います。なぜなら色が好きだからです。
洗い流します。原液で使っても泡切れが良いのでリンスが楽です。また、エビデンスはありませんがパールオートシャンプー後はボディに艶が戻る印象があります。海外YouTuberさんの一人がリンスレスウォッシュ剤としてパールオートシャンプーを使っていたようです。今度試してみようと思います。こういった攻撃性がなく、ボディに残らない性質のところがお気に入りシャンプーの理由でもあります。
吹き上げ後にブロアを使いました。旧車メルセデスだからというワケではないですが、この年代のメルセデスはゴムモールが多用されており、ボディの隙間も多いため、ブロアの効果が最大限に発揮されます。
塗装状態がよかったので、ボンネットのみスケール除去の目的でポリッシャーを当てました。仕上げ用のコンパウンドです。
キレイになりました。YouTube動画といえども毎回フルポリッシュするワケにいかないので、今後もこういった軽研磨の機会を増やしていこうと思います。
タイヤなどのゴム部分、プラスチック部分に保護剤を塗りこみました。
これもP&S製のシャインオールを用います。水性で使いやすいです。
最後の工程に塗装保護剤を吹きかけます。P&Sのビードメーカーを定番として使っています。強い光沢というよりは、高い安全性を評価して使っています。吹きかけて拭き取るだけの簡単施工。外装どこにでも使えて、撥水効果が得られるという汎用性の高さが気に入っています。
終了です。美しいマラカイトグリーンが復活してくれました。シンプルな洗浄にとどめましたが、元が良い状態だったので充分だったと思います。
さて、最後に動画制作について書かせてください。
今回の動画では新たな表現に挑戦しました。
4:13あたりのカットシーンです。大きく画面をぶらした表現です。憧れのカナダ人YouTuber「クロマティック」が多用していたので真似してみました。採用してみて思ったのですが、多用すると視聴者を酔わせてしまうかもしれないので、気を付けないといけないなと思いました。ちなみにこのカットは、シャッタースピードを極端に落とす事によって実現が可能です。1/6とか。遅くすればするほどブレが大きくなるので、そのあたりは撮影者の嗜好に合わせて設定すると良いと思います。もちろんシャッタースピードを極端に遅くすると、露光量が増えるので画面が真っ白になります。そういったときはISO値を最低値にセットして、”絞り”を絞って調整すると良いでしょう。それでも画面が明るすぎる場合にはNDフィルターを検討してください。
もう一つは動画をパステルカラーで優しく彩るということです。ボディカラーがグリーンなので、衣装もウォッシュミットもグリーンに合わせました。P&Sのケミカルは色が多用されているので、映える動画を作るのに一役買ってくれます。こういった優しくカラフルな色を視聴者に見せることで、不安などを取り除き、安堵感を提供したいという狙いがあったからです。
ではまた、次の記事で。デコタミンでした。
本記事の内容は以下の動画を解説したものです。
ご視聴ありがとうございました;D