クランツレ・クアドロポンプを利用して最良の洗車用・高圧洗浄機を自作する
洗車からディテイリングへの階段を登っていた頃、
毎日がケミカルとの戦いでした。いまここにある汚れを落とすにはどんなケミカルを使ったらいいのか。ボディがPHニュートラル化するにはどこまでリンスすれば良いのか。悩みは尽きませんでした。
なにより悩みのタネだったのは、基礎洗浄に時間を取られすぎ、全体の進行が遅れるというものでした。どんな手法を用いたとしても、目標とする美観を達成するためのプロセスは短い方が良いでしょう。ディテイリングとは、無駄な作業を徹底的に省き、必要とされる作業に時間を注ぎ込む事が重要なのです。
動作一つ一つを改めて考えました。先に思いついたのが、フォームキャノンを使うための希釈、セットアップのコストです。フォームキャノンは素晴らしいツールですが、大型車を打つ場合やPH値の異なったケミカルを打つ場合に液剤の入れ替えコストが発生します。
また、ケルヒャーやマキタに代表される一般的に流通している高圧洗浄機にも目を向けました。100V電源で稼動するこれらは最大でも6リッター/分くらいの水量しか出せません。効率よく残留ケミカルを落とすには頼りない数字です。できれば倍くらい欲しい。しかしこれは性能の問題ではなく電源エネルギーの限界で、どうしようもできません。
こういった様々な課題をまとめ、
すべてを解決できるマシンとして”デコタンク”を設計しました。
つまり、大水量でケミカルを自動的に射出できる機能を搭載したマシンということです。
製作には幾度もの失敗がありました。特にホースのセットアップには苦戦し、何十メートルものホースを無駄にしました。ホースリール、洗浄機、ショートガン、インジェクター。各々のネジ規格を統一する事は難しく、それぞれに応じたコネクタを用意する必要もありました。接続部の素材も重要です。ハイパワーを叩き出すクランツレポンプに真鍮コネクタは可能な限り避けるべきで、そういった最適な部材を調達するのに長い時間を要しました。
ホースが数センチ長さが足りないだけで、作り直す日々が続きました。こうして様々な課題を解決し、理想とする形に近づけていきます。
要となるのは中央にあるケミカルインジェクターです。
ドイツのR+M Suttner社製です。非常に高価ですが、ケミカル耐性が高く、酸もアルカリも余裕で許容します。間違いなく世界最高峰の域にある緻密に設計されたインジェクターです。
例えインジェクターのケミカル耐性が高くとも、ホースに耐性がなければ意味がありません。通常、サクションホースは薄く耐性の弱いものが多いです。そこで採用したのはニッタ社のホースです。手にとってびっくりするくらい頑丈な作りです。そしてこの重厚で重いインジェクターを丸パイプにマウントするための頑丈なステーをフォロワー様が製作してくれました。
インジェクターとホースリールを繋ぐジャンパホースは何度も製作し直しました。ジャンパホースは人の目に触れるところなので可能な限りクールであるべきです。最終的に、クランツレ高耐圧ホースにR+M Suttnerのブループロテクタ仕様でFIXしました。
こうしてトータルでカラーマネジメントを施し、完成した姿がこちらです。