これだけ知っていれば大丈夫。ホースを選ぶための基礎知識を得よう!

洗車において最も重要な要素は何でしょうか。高圧洗浄機?ケミカル?いえ、それはホースです。A地点からB地点に流体をつなぐホースは、その良し悪しによって全体の作業性に影響を及ぼします。クルマで言うと駆動系のようなものでしょうか。この重要な選択をするために、シンプルに物事を考えるべきです。世の中には無数のホースが存在しますが、洗車に使われるのはほんの一握りです。今回はデコタミンストアで扱う2種類の高圧ホースについて述べたいと思います。構造を知り、吟味して自分に合った最良のホースを探す旅に出て下さい :D
ホースの大カテゴリは低圧と高圧
庭の蛇口をひねり散水するホースと、高圧洗浄機で生成された圧力水を通すホースは根本的な作りから違います。前者の、水道から直接給水するホースを「低圧ホース」、高圧洗浄機を通したものを「高圧ホース」と言います。
デコタミンストアで扱う高圧ホースは大きく分けて2種類
洗車で標準とも言えるサイズ、1/4サイズと3/8サイズを主に扱っています。例外はあれど、この2つの規格が洗車界のメインプレイヤーであると言えましょう。この2つのホースのイメージを掴むだけで、設備の解像度が上がるはずです。
これが3/8サイズホースです。外径約15〜17mmあたりのものを指します。この規格でメジャーなのはVeloci/MTMが扱っているコブラジェットホースです。海外のディテイラー界隈では広く普及しており、オススメのホースです。日本でもいくつかのインポーターが存在しています。
これは1/4サイズホースです。外径約10mm〜12mmあたりです。家庭用高圧洗浄機などで多いサイズです。コンパクトで軽く、扱いやすいです。
3/8ホースの特徴
3/8ホースはワイヤーが入っています。それにより高い耐久性を備えています。クルマで踏まれても大丈夫なくらいです。たいていは200Vを超えた高圧域と、温水にも対応しています。洗車で必要な領域全体をカバーできる性能を持つのがこの3/8ホースです。
これは3/8ホースの切断面です。ワイヤーがメッシュ状に巻かれています。左がVeloci/MTM コブラジェットホース。右がデコタミンオリジナルスーパーフレキシブルホースです。
※米国のVeloci/MTM コブラジェットホース。ディテイラー御用達ホース。
※同じ仕様のデコタミンオリジナルホース
どちらも構造的には一緒ですが、ワイヤー入りにしては驚くほどしなやかに曲がる性質を備えています。コブラジェットホースは内側のゴムがやや厚く、内径が狭いです。その分耐久力に優れ、スムースな表面は汚れの付着を防止します。デコタミンオリジナルホースはその逆で、内側ゴムが若干薄いです。そのため、デコタミンオリジナルホースのほうがややしなやかです。しかしコブラジェットホースは細部まで本当に良く作られており、オススメです。デコタミンオリジナルホースは価格優位性があります。
1/4ホースの特徴
このサイズのホースはワイヤーが入っておらず、主に樹脂で構成されます。ワイヤーが入っていないから柔らかいと思いきやそうでもありません。高圧に対応するには樹脂であってもそれなりに頑丈に作る必要があるからです。
これが断面です。見ての通りワイヤーはありませんが、樹脂が分厚いです。このサイズのホースは安価なものから高価なものまで様々です。基本的に安価なものは固めになる傾向があります。樹脂なので温水には対応しておらず、耐圧性も3/8に劣ります。しかし細く軽量なため家庭用機には多く採用されています。
※1/4樹脂ホースでも素材から見直されて作られた米国産ホース。これはとてもしなやか。
それぞれの接地性
ホースの良し悪しを判断する一つの指標として接地性があります。圧力がかかっていない状態でホースを取り回したとき、ホースが手元からなるべく近い距離で接地してくれたほうが取り回しがしやすいということです。宙に浮いた状態が長いほど足や設置物に引っかかる可能性が高まり、危険です。では3/8ホースの接地性はどうでしょうか。
コブラジェットホース、デコタミンホースは、ホースそのものに重量があるため、手から近い距離で地面に落ちていきます。
1/4樹脂ホースは軽いため、手元から地面に落ちるまで宙に浮いた距離が長いです。この宙に浮いた状態は、ときに車両に接触するケースもあり、ストレスを感じる場合があるかもしれません。この接地性はホースを判断する上で意外にも重要です。3/8ホースは重いですが、返ってそれが取り回しの向上に寄与しているという考え方もできるでしょう。
3/8ホース先端デザイン
3/8ホースは先端金具も3/8規格のネジがついていることが一般的です。その仕様にはいくつか種類があります。
オスネジが一般的で、形状はテーパ状のNPTが主です。このNPTネジにカプラーやプラグを合わせると、
このようにカプラーが完全にネジ山に被りません。これが正常の仕様です。もう一つ、平行ネジのG規格があります。それは、
ネジ山にピッタリ被ります。どちらにも一長一短があり、どれが正解ということはありません。デコタミンストアでは両方の規格を取り扱っています。ネジ山を隠したいという要望をユーザーから頂く事が稀にあります。その場合はGネジで製作します。場所や要望に応じて臨機応変に先端デザインを考えています。
3/8ホース先端金具スイベル
金具形状ですが、片側にスイベル機能が備わっているケースもあります。スイベルは金具が回転する機構の事です。この使い道は、
ホースリールなどの金具に直にネジ込むとき用です。スイベル機能がないと、ホース全体をネジ込む方向に回さなければならず、現実的ではありません。ホース金具先端ネジを何かの機材に直付けする場合はスイベル機能が必須です。また、ホーススイベルをショートガン操作に使うことはなるべく避け、ショートガン側にスイベルを装着したほうが作業性が向上します。ショートガン側のスイベルのほうは作業性向上のための設計で、滑らかだからです。
1/4ホース先端デザイン
1/4ホースの先端金具はメーカー独自規格の金具を装着されているケースが多いです(ケルヒャーコネクタなど)。そういった独自のものを除外すると、M22という規格が一般的です。
↑M22金具(先端の黒い樹脂パーツ)は装着がより簡単です。ネジ込むだけで止水可能です。ロックタイトやシール剤は必要ありません。M22には14mmと15mmという内径のサイズがあり、14mmのほうが一般的ですが、一部メーカーでは15mmが採用されています。黒い樹脂カバーがメスネジ化されており、スイベル機構のような働きをしていますので、機材に直接ネジ込む事が可能です。
どちらを選択してもOK
通常、日本の100V電源で利用する高圧洗浄機の最高スペックというのは限られています。概ね圧力10Mpa、水量6L/分程度です。この範囲で利用する限り、3/8ホース、1/4ホースどちらを使っても間違いになることはありません。厳密に言えば差がありますが、それが大きく現れるほどの流水量と圧力ではないという意味です。よって、自分の気に入ったデザイン、気に入った色、気に入ったブランドなどで選択したほうが所有満足度は向上するでしょう。
え?個人的にですか?そうですね、私は3/8ホースを好んで使っています。洗車設備はヘビーデューティーな仕様にした方が、重厚感が出て見た目もカッコよくなります。それが所有満足度向上に寄与してくれるんですよね。いろいろな規格のホースを使いましたが、いつも3/8に戻ってきている現実があります。なのでこれからもどんどん重量級の製品をご提案していきます。お楽しみに!