w126 560SELケーニッヒ レストアはサビとの戦い
洗車が好きな理由に、愛車ケーニッヒの美しさを維持したいという想いがあります。現在三台のケーニッヒを持っていますが、その中でも最も威風堂々とした車両がW126型メルセデス560SELケーニッヒです。
入手した時は状態が悪く、手を入れる必要がありました。足回りから機関系のほとんどのパーツを交換し、状態はよくなりました。
しかしケーニッヒメルセデスでもっとも大変なのはその外装です。おおぶりなブリスターフェンダーはパテと鉄板で固定されており、あらゆる継ぎ目からサビが発生し、ボディ全体を蝕んでいきます。これはケーニッヒオーナーが最も危惧する課題でもあります。
長い戦いが始まりました。エアロを剥がし、塗装を剥離し、すべてのサビを除去。ゼロから組み上げていく必要があります。もっとも大変だったのはこの途方もない仕事を受けてくれる職人を探すことでした。
何軒もの板金屋が引き受け不可でした。探しに探して、最終的に引き受けてくれた職人は一人親方で旧車好きでした。彼との関係はもう数年になります。今日は久しぶりに様子を見にいきました。作業はゆっくりと進んでいます。エアロと塗装の一部はすでに剥離済みでした。
塗料は徐々に入ってくるようになったと語っていました。原料高騰の波は顧客にダイレクトに響きます。レストアをやるオーナーにとっては苦しい局面です。
内装はほぼとっぱらい状態です。ウッドパネルは最終的にすべてリペアに出す予定です。この年代のメルセデスは随所にウッドが散りばめられており、そのリペアだけでも相当なコストと時間を費やす必要があります。
これは職人もリペアを諦めたドアパネルです。サビの侵食がひどく、ドアごと交換する必要があります。こうやって、一つ一つのパーツを世界中のマーケットから探し出していく必要があります。
これはボディ鉄板の接合部です。この部分からサビが侵食していくのがよくわかる例です。
サビは車の大敵です。塗膜の内側からサビが始まると、止める術はもうありません。長い時間かけて、四方八方に広がり、やがてボディが朽ちていきます。
ケーニッヒのようなパテと板金技術が注ぎ込まれた旧車車両を維持していくために、もっとも重要なのは、洗車をすることではなく、いかに洗車をしないかに注力する必要があります。
愛車を美しくするために洗車を追求してきましたが、結果的に洗車をしない方が良いという結論に至った時には、なんという皮肉かと思いました。
サビの原因は”水分”です。湿気も避けたいところですが、たまに走行していればそう気にすることもありません。問題は洗車や雨の水分が細かい隙間に滞留することです。それがサビのキッカケを作ります。
同じ愛好家はトップコートにワックス系よりも無機系のガラスコート剤を好む傾向にあります。割れやサビに敏感になり、結果的に、油分と水分を過度に避ける体にされてしまうのです。わずかなサビが、すべてを滅ぼすと体験しているからです。
とはいえ、日常的に走っているのであれば、洗車はそう危険なものではありません。走れば空気が通り、水分を消し去ってくれるからです。雨ざらしで放置が最も痛みます。いかに修繕困難になるか、この車両が物語っていますよね。
この車両はケーニッヒ社が制作した中でも希少なセダンモデルです。いまはホワイトですが、レストア後は純正のソリッドブラックに全塗装されます。
ケーニッヒ社によると、セダンタイプの正規製造車両は世界50台と言われています。この車両だけは完璧にレストアしたいです。そして完成後は、この車両独自の洗車メソッドを作っていきたいと思います。
旧車マニアはイバラの道。もう一度生まれ変われるなら、もうこの趣味はごめんです。