デコタミンは旧車メルセデス・ケーニッヒレストアプロジェクト

デコタミンは旧車メルセデス・ケーニッヒレストアプロジェクト

80年代と聞いて何を感じますか?熱狂と混沌でしょうか。当時、メルセデスの作りは優れていました。効率より品質。国産とは違う頑丈さを備えていたのがこの時代です。ステータスも最高峰でした。ネットが開かれていない当時、人々はクルマに喜びと誇りを求めたのです。

ドイツ。AMG・ブラバス・ロリンザー。メルセデスを更にグレードアップさせるチューナーがたくさん登場したのもこの時期です。それぞれのブランドに特性がありました。AMGは優等生、ブラバスは暴力的、ロリンザーは品性を司っていました。そこに斜め上を行くケーニッヒというブランドがありました。彼らは実にずさんで、狂乱の世界らしい禍々しいメルセデスを世に送り出します。彼らはメルセデスが持つ紳士的な面を破壊しました。スマートな車体に345 35/15のタイヤを履いたのです。このサイズのタイヤはデ・トマソ・パンテーラとカウンタック用しかありませんでした。そのタイヤを覆うように作られたフェンダーで車格は2mを超えました。更にケーニッヒ社はV8 5.6リッターのシリンダーを削り、乱暴なターボを搭載しました。出来上がったものは、前にしか進まず、ビー玉のような段差でハンドルが半分持っていかれるような、かといってそれほど速くないハリボテのようなものだったのです。

デコタミンはこのゲテモノカーとも言えるケーニッヒメルセデスの大ファンです。ケーニッヒメルセデスは、実は名門AMGでさえ超えることはできない魅力を持っています。それが、

このスタイルです。宇宙に飛び立つガンダムのような。このひどいデザインは、一周回ってどこかアート性さえ滲ませます。ひと目見たその時から、このケーニッヒスタイルに魅了され続けています。

80年代狂乱の時代を現代に復活させる。

そう決意しました。最終目標はケーニッヒのディテイルアップを動画として永遠に記録することです。最も愛すべきケーニッヒを、最も好きなディテイリングで仕上げる。その実現のためにデコタミンをプロジェクトとしてスタートさせました。

取得直後。Albrexスーパーチャージャー。往年の固着汚れはサビを誘発し、細部はボロボロの状態

このクルマとの出会いは刺激的なものでした。朽ちて眠っているこの車両を発見し、取得しました。しかし急に起こされたW126ケーニッヒは、ラジエターから白い息を上げ、六本木の交差点で立ち往生したのです。ゼロから作り直す必要があると思いました。

片っ端からパーツを集めていく

↑無心でパーツを交換する日々が数年続く。

 

ホイールセットは値上がりが激しいので古いのを取得して、フルリペアする

ドラム缶のような太さを持つホイール

タイヤを履き替えるのも一苦労

欠品となったパーツを世界中のマーケットから探し回りました。入手困難なものが多く、たくさんの人の協力を得て、一つ一つ集めていきました。失敗もたくさんありました。多くの資金をロスし、時に心が折れ、活動をやめた時期もあります。しかし眼の前に鎮座するケーニッヒを見ると、また心に火が灯りました。

そうして足回り、補機類、排気系ほとんどのパーツを入れ替えました。エンジンは一発で始動し、安定したアイドリングを保ちます。往年の名車。W126独特の味が戻ってきました。

人生のすべてが一台のクルマを中心に巡る

↑レストアは多額の資金を費やすため、価値を保つのが重要。そのために正規品の証明を取る。ドイツ・ケーニッヒ社にコンタクトし、必要手続きを踏んで認証プレートを発行してもらった。

ついに鈑金です。ボディを作り直すのです。ケーニッヒのブリスターと呼ばれる極端に張り出した造形には、たくさんのパテが使われます。パテはやがて痩せゆく運命にあり、ひび割れが多発します。そこに水が侵入し、サビが発生。内部から徐々にボディ全体を侵食していくのです。既にたくさんのサビに侵食されていました。これを解決するには塗装を剥ぎ、エアロを剥がし、サビを削り、鉄板を溶接、パテで造形していく。このフェーズは最も重要ですが、引き受けてくれる鈑金屋さんはほとんどいません。造形に非常に手間がかかるからです。

何人もの職人を周り、ようやく引き受け先を見つけました。納期に制限を設けないという条件でお願いしました。1年、2年と年月が経過し、徐々にサビが取れていきます。取得から6年。もう少しで全塗装のフェーズまできました。


この間、映像を学び、ディテイルアップのスキル習得を継続しました。一本の動画を作る度に、新たに車両を購入しました。自分のモノであれば、何をしても大丈夫だからです。様々な検証を行いました。幾度となく失敗を繰り返しました。100の失敗の先に1の成功がありました。しかしそれらの経験はとても有益で、今に生きています。

やがて完成するW126ケーニッヒを最高の設備と選び抜いたケミカルで映像に残す。米国P&S Detail Products、ドイツKranzle、R+M Suttnerがそれの布石になってくれるはずです。すべてのブランドに歴史と哲学があります。それらを巧みに操り目標を達成するために、デコタミンは活動しています。

Thanks 2000 followers

ケーニッヒ・レストアプロジェクト「デコタミン」はXを中心として活動しています。2000名のフォロワー様とデコタミンストアのサポーター達に支えられています。洗車愛好家として、旧車愛好家として、その活動から得たノウハウを今後も発信していきます。デコタミンの失敗と成功がいつかあなたの人生のお役に立てることを祈っています。

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